FIP治療 Medical
FIP(伝染性腹膜炎)とは?
猫伝染性腹膜炎(FIP:Feline Infectious Peritonitis)は、猫に特有の重篤なウイルス性疾患です。
多くの猫が保有する猫コロナウイルス(FCoV)のうち、ごく一部が体内で突然変異を起こし、強毒型のウイルス(FIPV)となることで発症します。この変異ウイルスに対して猫の免疫系が過剰に反応し、全身の血管や臓器に深刻な炎症を引き起こします。
かつてはほぼ100%致死性とされていましたが、近年、抗ウイルス薬の登場により治療可能なケースが増えてきました。
早期発見・早期対応が予後を大きく左右するため、発熱や食欲不振などの兆候が見られた際は、すぐに専門的な検査をお受けになることをおすすめします。当院ではFIPの診断から治療まで、最新の知見に基づいたサポートを行っています。
FIP(伝染性腹膜炎)の症状
FIPは以前「不治の病」とされていましたが、2019年以降、抗ウイルス薬の研究が進み、多くの猫で治療による回復が報告されるようになりました。
主な治療アプローチは、ウイルスの増殖を直接抑える抗ウイルス薬の長期投与(通常84日間を目安)です。治療中は定期的な血液検査・画像検査で経過を厳密にモニタリングします。
FIP(伝染性腹膜炎)の原因
FIPは、ほとんどの猫が持っている**猫腸コロナウイルス(FCoV)**が突然変異を起こすことで発症します。
FCoV自体は通常、軽い下痢などの消化器症状か無症状で済む弱毒性ウイルスですが、免疫力の低下、ストレス、多頭飼育環境などが変異の引き金になると考えられています。
変異したウイルス(FIPV)は免疫細胞(マクロファージ)内で増殖し、全身に広がって過剰な炎症反応を引き起こします。FIP自体は猫同士で直接感染する病気ではありません。
FIP(伝染性腹膜炎)の種類
FIPは主に免疫反応の違いにより、以下の3つのタイプに分類されます。
タイプが移行したり混合したりする場合もあります。
ウェットタイプ
ドライタイプ
眼症状(ぶどう膜炎、目の濁り)、神経症状(ふらつき、けいれん、斜頸)、黄疸、下痢などが現れることが多く、診断が難しいタイプです。
混合タイプ
実際の症例では、純粋なウェット/ドライではなく混合型であるケースも少なくありません。
FIP(伝染性腹膜炎)の治療
FIPは以前「不治の病」とされていましたが、2019年以降、抗ウイルス薬の研究が進み、多くの猫で治療による回復が報告されるようになりました。
主な治療アプローチは、ウイルスの増殖を直接抑える抗ウイルス薬の長期投与(通常84日間を目安)です。治療中は定期的な血液検査・画像検査で経過を厳密にモニタリングします。
Xraphcon(ラプコン)
Xraphcon(旧Mutian/Xraphconn)は、GS-441524を有効成分とする経口薬(錠剤・カプセル)で、世界的に多くの症例で使用され、有効性が複数の研究・臨床報告で示されています(日本では動物用医薬品として未承認ですが、様々な動物病院で治療に用いられています)。
ウェットタイプでは比較的良好な反応が期待されやすく、ドライタイプや神経・眼症状がある重症例では投与量を調整しながら使用されることが一般的です。
副作用として一時的な肝酵素上昇や消化器症状が報告されるため、治療中は定期的な検査が不可欠です。
- 費用目安
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猫の体重・タイプ・投与量により異なりますが、84日間の標準治療で薬代を中心に60万円〜150万円前後(総額で検査・診察料含む場合100万円以上になるケースも多い)が相場として報告されています。
一部の病院では200mg錠1錠あたり4,700〜6,000円程度で設定されており、体重4kg前後の猫で計算するとこの範囲が目安となります。
当院では個々の猫ちゃんの状態に合わせた正確な見積もりをご提示いたします。
モルヌピラビル
当院取り扱いありモルヌピラビルは、もともと人間の新型コロナウイルス治療薬として開発された抗ウイルス薬ですが、猫のFIP治療でも有効性が複数の臨床報告で示されており、近年使用例が増えています(日本では動物用医薬品として未承認)。
GS-441524系薬剤と比較して入手しやすく、費用が抑えられる点がメリットですが、重症例(特に神経型)では反応がやや遅い場合があるとの報告もあります。
副作用として消化器症状や一時的な血液検査値の変動がみられることがあり、定期モニタリングが必要です。
- 費用目安
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84日間の治療で薬代を中心に10万円〜30万円前後(体重3kg前後の低〜標準用量の場合14〜26万円程度の報告が多い)が相場です。
GS-441524系と比べて1/3〜1/4程度の費用で治療可能なケースが多く、金銭的負担を軽減したい場合の選択肢として検討されることが増えています。
当院では猫ちゃんの状態・タイプを総合的に判断し、最適な治療計画をご提案いたします。 当院では個々の猫ちゃんの状態・タイプ・重症度に合わせて、最適な治療計画をご提案いたします。ご相談はお気軽にどうぞ。
※治療薬の選択・使用については、最新のエビデンスと個々の症例を総合的に判断します。費用やリスクについても詳しくご説明いたしますので、まずはご来院の上、現在の状態を確認させていただきます。
